レジストリー研究の成果 ①
レジストリー研究の目的の一つに、病気の進み方を正確に評価する方法を確立することがあります。治験の評価の際に世界中で標準的に使われている方法の一つに,統一多系統萎縮症評価尺度(英語の頭文字をとって、UMSARSと呼んでいます)があります。これは、ヨーロッパの研究者が開発した評価方法で、文章は英語で書かれています。これまで、いくつかのグループが日本語に翻訳していましたが、統一された翻訳がなく、日本で治験を行う際に問題の一つとされていました。
そこで、私たちは、関係者と協力して複数の日本語訳を統合して、それを英語に逆翻訳して、ヨーロッパの原著者に意見を求めて、それに基づき修正を加えました。また、日本語や、日本の習慣に合わない項目は、日本の患者さんに理解しやすいように修正を行いました。
さらに、完成した日本語訳を使って、評価する人によってズレがどの程度起こるのか、他の評価尺度とのズレがどの程度起こるのかを分析して、治験で評価する際に十分な信頼性と妥当性を有することを示しました。
この研究は、東京大学 近田彩香(現所属:国立国際医療研究センター病院)が筆頭著者として、Neurology and Clinical Neuroscience誌の2021年3月号に掲載されました。