レジストリー研究の成果 ②
レジストリー研究の目的の一つに、病気の自然歴(現在の標準的な治療を受けていて、一定の時間経過でどのように進行してしまうのか)を明らかにするということがあります。これは、皆様にお願いしている、定期的な電話インタビュー、病院への受診によって、経時的な状態を記録していくことで明らかになっていきます。おかげさまで、世界的にみても最大規模のデータが蓄積されつつあります。
この結果、
- これまでヨーロッパやアメリカで報告されてきた自然歴研究の報告と比べて、概ね同じような傾向でした。個人差が大きいのですが、自律神経の症状(起立性低血圧や排尿や排便の障害です)が強い患者さんは、進行のスピードが少し早い傾向にありました。
- 病気の評価尺度であるUMSARSの変化量は、病気の初期ほど変化量が大きい傾向にありました。これは、病気そのものの特徴なのか、UMSARSという尺度のもつ特徴なのか、詳しくわかっていません。
ということなどが、明らかになりました。このようにして分かったことは、治験を計画するとき、また治験の結果を分析するときに、たいへん役に立つ情報です。
これまで報告されている研究は、比較的短期間(1~2年程度)のデータでしたが、私たちは,今後さらに数年という長期的な病気の変化についてもデータを蓄積して、患者さんのケアや、新たな治験の際にも役立てることができるようにと考えています。